Planetway Corporation*1(本社:米国カリフォルニア州サンノゼ、CEO&Founder:平尾 憲映 、以下「Planetway」)は、当社が有する非常にセキュリティの高いデータ連携技術を東京海上日動火災保険株式会社(本社:東京都千代田区、取締役社長:北沢利文、以下「東京海上日動」)が従来のブロックチェーン技術と組み合わせて実施した医療情報連携の実証実験*2が完了いたしましたのでお知らせいたします。
1. 背景
ブロックチェーンは、決済や取引の自動化など様々な領域での活用が見込まれる技術として非常に高い注目を集めておりますが、ブロックチェーンにおける暗号化技術の利用は偽造・改竄を防止するためのもので、取り扱うデータそのものは暗号化されていないことから、機密情報や個人情報等を扱う上で課題があるとされています。
特に、保険業務で取り扱う契約内容や医療情報など、長期に亘って非常に高い秘匿性が求められる領域での活用に向けては、通常の暗号化での対応では不十分であり、新たな技術による課題克服が求められています。
2. 実証実験概要
- 内容
東京海上日動は、エストニアの国民番号制度を支える非常に高いセキュリティ技術を適用したデータ連携基盤であるPlanetwayの「avenue-cross*3」と、従来のブロックチェーン技術を組み合わせたモデルを、医療情報連携に活用する実証実験を行いました。
具体的には、お客様の保険金請求に関わる医療情報を、ブロックチェーンを通じて医療機関に要求し、データ連携基盤「avenue-cross」を通じてデータを受領することで、医療情報に対するセキュリティを確保しつつ、保険金支払業務の簡略化・迅速化が実現可能かを検証しました。
なお、本実験のパートナーとして、飯塚病院*4 (福岡県飯塚市、院長 増本陽秀)に医療情報の連携をご協力頂いた他、実験フィールドの提供にあたっては、株式会社麻生情報システム*5 (本社:福岡県福岡市早良区、代表取締役社長 瀧中秀敏、以下「麻生情報システム」)と、福岡地域戦略推進協議会*6(会長: 麻生 泰、 以下「FDC」)にご支援頂きました。
- 実施時期 2017年1月~10月(うち実データを用いた検証:2017年9月~10月)
- 結果
本実験で実証できた主な結果は以下の通りです。
保険会社と医療機関の間で、契約内容や医療情報等の非常にセンシティブなデータを、安全性を担保した上で連携することに成功し、将来的な保険金支払業務の簡略化・迅速化に向けた実現可能性を示すことができました。例えば、保険金請求にあたって診断書が必要なケースにおいては、東京海上日動とお客様との郵送による書類のやり取りの期間や、お客様が医療機関に対し診断書の作成を依頼し、取得・提出する期間を短縮することが可能となり、保険金請求から保険金支払までの期間を1ヶ月程度短縮することが期待できます。
ブロックチェーンとデータ連携基盤「avenue-cross」を組み合わせて活用することが、ブロックチェーンの弱点であるプライバシー保護の課題解決に有用であることを確認できました。
本実験で活用した技術を応用することで、保険金支払業務以外の秘匿性の高いデータを扱う業務領域においても、業務効率化やお客様の利便性向上につながる可能性があることを確認できました。
3. 本取組の評価
- 2017年4月Efmaがアクセンチュアと共催する"Innovation in Insurance Award"において、"Connected insurance and ecosystems"の部での 金賞を受賞しております。
http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/170502_01.pdf
- 2017年10月にガートナーが主催する"2017 Gartner Financial Services Eye on Innovation Awards"のアジア太平洋エリアにおける"Most Innovative Digital Business Model"部門でファイナリストに選出されております。
https://www.gartner.com/newsroom/id/3821863
4. 今後の展開について
本実験を通して、秘匿性の高いデータを扱う領域におけるブロックチェーンの活用可能性が示せたことから、今後、東京海上日動は、幅広い分野でのブロックチェーン活用による新たなお客様価値の創出や革新的な業務効率化を検討していきます。
また、「avenue-cross」に代表される秘匿性の高い情報連携が可能なプラットフォームが広く活用されることが、お客様をはじめとしたすべてのステークホルダーの皆さまへの安心と安全の提供につながると捉えており、継続して新しい技術の活用を積極的に進めながら、広く社会全体へ貢献していくことを目指します。
【*1】 Planetway Corporation : グローバル通信、IoT、データの3つのkeywordを事業の柱として、世界規模のビジネス展開を目指す為、2015年7月に設立。現在、世界200カ国で利用可能な通信サービスを提供しながら、開発拠点をエストニアに置き、IoTの新規事業創出に特化したプラットフォーム「avenue-cross」や、企業が持つ個人情報を個人に帰属させるための認証サービス「Planet ID」を開発中。
【*2】2017年1月24日付 ニュースリリース「ブロックチェーン技術の活用領域拡大に向けた実証事業を開始」
http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/170124_001.pdf
【*3】avenue-crossの特徴と優位性 : 「avenue-cross」は分散型データ連携を可能とするセキュリティの高いデータインフラで、世界最先端の電子国家であるエストニアの国家インフラを支える技術を世界で初めて民間事業で活用する取組となる。セキュリティとデータの完全性を証明した状態でのデータの相互連携を可能とし、更に、アクセス履歴の完全な追跡を可能とする。こうした特徴から、ブロックチェーン技術等と組み合わせる事で、これまでは情報の秘匿性等の理由で活用が難しかった領域を含めて、多様な業種・業界間におけるデータ活用を実現することができる。
【*4】飯塚病院 http://aih-net.com : 福岡県飯塚市に位置する麻生グループの病院であり、―まごころ医療、まごころサービス― をモットーに地域のメディカルセンターとして診療活動を行っている。
【*5】麻生情報システム http://www.aso-group.co.jp/ais/ : 麻生グループのユーザー系ソフトウェア企業として、医療分野を中心にさまざまな分野のシステム開発に関わっており、より高度で質の高いサービスを追求し続けることにより、安心して暮らせる社会づくりに貢献することを使命としている。
【*6】福岡地域戦略推進協議会(FDC) http://www.fukuoka-dc.jpn.com/ : FDCは、福岡の新しい将来像を描き、地域の国際競争力を強化するために、成長戦略の策定から推進までを一貫して行う、産学官民一体のシンク&ドゥタンク。約140の企業・大学・行政等の会員で構成されており、福岡都市圏がビジネス交流・開発・営業拠点として「東アジアのビジネスハブ」となることを目指している。
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